ブックタイトル金沢大学広報誌|アカンサス No.42

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金沢大学広報誌|アカンサス No.42

Research strategy goes sky high. -金沢大学研究力の飛翔-「生命の謎に迫る冒険の物語」体を形作る細胞の内外にある分子は,それぞれの役目を果たして命を紡ぎ出しています。分子はどんな形?どんなふうに動く?ナノ生命科学研究所では,そんな生命の謎に迫ります。それぞれの分子の役目は解明してきた。でも,細胞の世界で実際に何が起きているか,その姿は観たことがないから,分子の本当の形や動き,つながりは実はまだ分かっていないんだ。分子の形や動きを動画で観察できる最先端の顕微鏡技術を持っているよ。その技術で,細胞の世界での分子を観る,もっとすごい顕微鏡も開発できるんだ。でも,細胞の中にいる分子を観るにはまだ課題がある。目的の分子を見分けたり,動かしたりする,特別な分子を作り出せるよ。細胞の中の分子だって操作できるようになるから,新しい顕微鏡の開発に生かすことができる!なるほど!これで細胞の外でも中でも,分子の姿を直接観ることができる!あとは,誰も実現したことのない技術で観た小さな分子の動きだから,それが正しいことを証明する必要がある。蓄積してきた膨大なデータがあるから,小さな分子の動きもシミュレーションで裏付けできる。みんなの知見を掛け合わせて,どのパターンが分子の動きを説明できるか実証だ!細胞の世界を探求できたおかげで,生命の誕生や病気が起こる仕組みなど生命現象の真理の解明に近づけた。新しい診断?治療法の開発にも役立つ,未来につながる研究になる!ナノ計測学?ナノプローブ技術の開発?SPMの中でも,原子間力顕微鏡(AFM)と走査型イオン電導顕微鏡(SICM)によって世界をけん引してきた研究者が多数集結しています。独自の開発技術によって高速化?高分解能?3次元観察を実現してきたAFM技術と,分子表面と非接触であるために柔らかい細胞表層での観察が可能なSICM技術をそれぞれ進化させます。さらに,超分子化学との融合により,生体分子の動態を直接観察?分析?操作できる「ナノプローブ技術」を確立します。生命科学?生命の基本原理の理解?体の中にある分子の形や動きを,正常細胞とがん細胞で比べることで,それぞれの分子の本来の機能を知り,その異常によって生じるがん化の仕組みを理解できます。新たに開発されるSPMや特定の分子に反応する「分子センサ」を用いて,生命現象の要となる分子のありのままを観ることにより,細胞の増殖や分化,死,運動などの基本原理を解明します?さらに将来は,がんをはじめとするさまざまな疾患に対する新たな診断?治療法の開発につなげます。4研究分野の融合で創成するナノプローブ生命科学超分子化学?超分子の力で分子を操る?超分子化学では,さまざまな分子構造を巧みに使って分子を自在に設計できます。分子間の相互作用に基づいて分子のサイズや形を見分ける「分子認識」により,特定の代謝物やタンパク質にのみ結合して細胞内の分布を明らかにするセンサとなる超分子の開発を目指します。さらに,光やイオンなどの外部刺激に応答して構造が変化する「分子機械」により,ナノプローブ顕微鏡での観察時に,細胞内の特定の分子の形や位置を動かす,内視鏡操作を実現する計画です。数理計算科学?イメージングと実像の架け橋?今までにない新たな計測技術,とりわけ探針との相互作用を通してナノレベルの観察対象分子の構造や性質を可視化するSPM技術では,たとえ観ることができても,それだけで新たな動態の原理までを特定することは容易ではありません。そこで求められるのが,高度なシミュレーション技術です。得られたイメージング画像から考えうる分子の動態パターンを再現し,各分野の知見や経験を総合して動態原理を解明することで,生命現象の実像の理解を実現します。425

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