オーストラリア シドニー工科大学

掲載日:2024-7-16

シドニー工科大学

2022年度 オセアニア〈オーストラリア〉

R.S.(人間社会学域国際学類 4年)

留学先、留学時期

オーストラリア、シドニー工科大学(University of Technology Sydney

20232月~12月(10か月)

元々、中高英語科の教員免許を取得予定で、将来は日本の英語教育を変え、海外と日本を繋ぐ架け橋のような存在になりたいとの思いがあった。そのため英語圏で、自然が豊かで治安も良く住みやすい、そして何より多民族で多様な価値観を持った人々と関われるオーストラリアを留学先に選んだ。

シドニー工科大学を志望したのは、シドニーの中心にあるキャンパスで将来役立つグローバルなネットワークを構築するためである。また日本とは違い、講義後にある「チュートリアル」と呼ばれるアクティブラーニングを体験し、日本に取り入れるべきオーストラリアの教育方法や価値観を学びたいと思ったからだ。

留学前の準備

まず、何より必要なのは語学力である。私は、1,2年次にも留学を視野に入れていたもののコロナ禍で見通しが立たなかったこともあり、しっかりとした準備に取り掛かっていなかったため、留学前の1年間で3IELTSを受けることになった。

金沢では一人暮らしをしていたため、家を解約、倉庫を契約し、引っ越し作業を行った。

12月末にVISAの申請をやっと終わらせた。年末年始に被ると処理が遅くなると聞いて焦ったが、2日ほどで無事に年内に承認された。

寮に入れず、宿探しに最初は苦労した。ホームステイ先を決めたのが1月中旬くらいで、他のエージェントは2週間前までに申し込まないといけないため、Homestay.comを使い、ホストファミリーと直接連絡を取った。

留学先について知っておくと良い情報

気候面:シドニーは暑すぎず寒すぎないと聞いていたが、日差しが日本とは違うレベルで強い。「一日の中に四季がある」と言われるほど、日中と夜間、陽向と日陰の寒暖差が大きい。夏は基本的に30℃以上にはならないが、近年気候変動や地球温暖化で、数日だけ40℃近くまで上がるという狂った日がある。

健康面:紫外線か、乾燥か食生活が原因で、日本では経験したことのない肌荒れが全く治らず、現地の市販薬を試したが効果はなかった。保険には入っていたが、肌荒れに適応されるのか、現地の病院の行き方(最初にGPを通さなければならない)も良く分からなかったため、利用できなかった。

交通面:空港で乗り降りする電車だけが例外的に高いのが落とし穴である。空港から最寄りの駅まで10分ほどバスに乗り、そこから電車に乗り換えるだけで$15ほど節約できる。

留学中に取り組んでよかったこと

ダンスコミュニティへの参加である。UTS Hip Hop Societyというサークルに所属し、大学のサークルとしての活動だけでなく、シティにいくつかあるダンススタジオのレッスンに通ったり、ショーケースに出演したりした。また、シドニーの4大学が集ってダンスバトルや交流をするイベントにも積極的に参加した。そのことで、一生涯の親友と呼べる友達が出来た。ダンスは言語が無くても分かり合える芸術であり、同じ趣味を持つ人の集まりであるため、スキルや踊る楽しさを共有できた。

留学中の苦労

留学中は精神的に孤独を感じたり、環境の違いからストレスを感じたりすることも多くあったが、最も大変だったのはやはり授業である。春学期では4つの授業を履修していたが、どれもクラスメイトのほとんどがネイティブの学生だった。ネイティブの学生にとって、チュートリアルは「ただ教授と雑談する時間」のように思えたが、私にとっては一つ一つがチャレンジだった。一対一で話す分には、相手がある程度配慮して会話してくれるため、申し訳ない思いになりながらもついて行けたが、グループでのディスカッションでは、ネイティブの日常会話レベルの速度、現地の人の知識量や語彙力で話が進むため、私は聞いて理解するので精いっぱいだった。ただ、私が唯一皆と違う観点で意見を言えることが、オーストラリアを外から見た視点、日本やアジアとの比較である。常に自分が少しでも力になれることを考えて参加していた。また、授業で行われた活動が分からないときは、みんなの前でも恥ずかしがらずに先生に聞き、そのままでやり過ごさないことを心掛けていた。

留学経験をどのように生かすか

現地で、UTSの学生にたくさん助けられた分、金沢大学に来た留学生や、これから留学に行く日本人学生のサポートをしたり、積極的に活動に参加したりしたい。英語力を落とさないために、英語の試験を受けて勉強を続けたい。現地での経験をもとに、実用的な英語をSNSで発信する活動をしたい。

卒業後の進路について

留学先で、日本の企業が出展するキャリアイベントに参加した際には、留学と就職活動を並行して進め、オンラインで何社も受けていると言う同期もいた。ただ、私はせっかく留学に来ているのなら現地でしかできない体験に焦点を当てたいと思い、就職活動はしなかった。

英語と教育が好きなため、留学前は教職志望だったが、留学中に考えが変わり、一般企業に就職予定。大学在籍期間を1年間伸ばし、帰国後から本格的に就職活動を始めている。留学中に、日本人は世界の中でも突出して英語力が低いことを、自分の苦労を含め実感し、日本の英語教育に問題があると考えた。ただ、高校の一英語教師になったところで日本の教育を変えることは不可能なので、就職して海外の人と関わる仕事に就き、経験を積みたい。現在考えている旅行、観光業界に携わる中で、海外と日本を繋ぐ存在になり、日本での英語の必要性や国際交流の需要を上げたい。そして最終的には、日本人の英語レベルを上げるという目標を達成したい。将来は海外での勤務や、ワーホリも視野に入れている。

留学してよかったこと、成長や変化したこと

留学を通して、自分を見つめ直す機会が多くあった。周りの人は見た目も、人種も、話す言語もバックグラウンドも様々で、そこで日本人としてのアイデンティティがより明確になった。幸い、オーストラリアでは人種差別もなく、日本人としての誇りを感じた。

また、異国の地で、一人で新しい暮らしを始めるという経験を通して、世の中に怖いものが無くなった。自立し、一人でも全く孤独ではなく、何でもできるというマインドになった。

卒論や就職活動に繋がる人脈や知見を得られた。現地の日本人ハーフの子どもたちに日本語を教えるボランティアをして、アイデンティティについて考えるきっかけになった。また、そこで出会った校長先生がシドニーの移民の言語教育や、移民法などに詳しく、インタビューさせていただき、卒論で研究したいことが見つかった。

派遣留学を志す後輩へ

留学に来て1週間で、「あ、もう後悔することはないな」と思うくらい最初から最後まで楽しみました。苦労も含めて全てがかけがえのない経験です。学生のうちに視野を広げて世界を見ること、日本を俯瞰することは今後の就職活動や将来のキャリアを考えても必要なことだと思います。死なない程度に将来ネタになるようなエピソードを作るつもりで、何にでも果敢にチャレンジしてきてください。

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